『千住博の美術の授業 絵を描く悦び』千住 博

 光文社新書。
 何を描かないか。何を伝えるか。何を描くか。何で描くか。何に描くか。そんな5つのテーマに沿って、絵を描く上で大事なこととは何なのか、著者の視点で読者に伝える。
 書いてあることはどれもこれももっともなことなのだが、ふだんあまり考えていなかったことだったりするので、ひとつひとつの言葉を読むとハッとする。これらの言葉には、著者の美術に対する真摯な態度がよくあらわれている。そしてこれを自分に当てはめてみると、いかに自分が不真面目な生徒だったのか否応もなく気づかされ、これからはもっと真面目に絵を描かなければと、身が引き締まる思いがする。
 逆に勇気づけられたこともあった。例えば個性なんてものはみんな当たり前に持っているものなのだから、今以上の個性を持とうなんて思わなくていい、と書いてあったりする。
 私は時として、絵を描くという行為自体とどう向き合っていけばよいのかわからなくなり、身動きが取れなくなったりすることがある。そんなときこそこの本を開くと、何か糸口のようなものが見つかり、また一歩前に進めるようになるのではないかと思う。この本を読み終わった今、まさにそういう気分でいるのだから。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。