『芸術とは何か』千住 博

 祥伝社新書。副題『千住博が答える147の質問』。
 最後の質問は「芸術とは何ですか?」であって、ここに最終的な答えがあるのだけれど、それ以外の146の回答を含めて、芸術とは何かということに対して総体的に答えている。「すぐれた絵画とはどういうものですか?」のように直接的な問いもあるし、「作品の価格は、どのように決まりますか?」のようにちょっと泥臭いものまである。芸術と絵画、日本画、西洋画、古典、現代美術、制作、芸術家、教育、価格、展覧会、ニューヨーク、日本といったさまざまな観点から、「芸術」をあぶり出していく。これら多くの問いに対する答えによって、「芸術」の形が浮かび上がってくる。語り口はやさしいけれど、その内容はときに厳しく、著者の思いに圧倒される。
 著者の芸術に態度はとても真摯で、自分のことを振り返ると、身につまされる。ときには、真面目すぎるよ、と感じるところもある。そこまでしなければいけないのかと思うところもある。だけど、それらは世界を相手にしている彼だからこそ言えることなのだろう。
 内容はすばらしいと思う。興味深い質問ばかりだったし、ハッとさせられて、なるほど、と思う答えも多かった。でも、私のように趣味で細々と絵を描くことを否定されているような感覚になるときもあって、複雑なやるせない気持ちになったりもした。もちろん千住自身はまったくそんな意図を持って芸術を語ったわけではないのであろうが。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。