『超・反知性主義入門』小田嶋 隆

 日経BPマーケティング。
 本書は日経ビジネスオンラインでの連載を編集し直したものだ。そしてこの連載は、反知性主義を意識して書いたものではない。本書でも、反知性主義とは何かについてほとんど説明なく、このコラムを並べている。鯨問題だったり人権問題だったり大学問題だったり、時事ネタを用いた論考が多い。にもかかわらずこれらを読み通してみると、反知性主義がどういう雰囲気を持ったものなのか、おぼろげながらも見えてくる。多くは反知性主義的な言動なり行動を俎上に載せているのだと思って読んでいたのだが、ややこしいことに著者自身が反知性主義と呼ばれることもあるらしく、反知性主義とは何なのか、正確にはよくわからない。それでも、巻末に『反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体』(私の記事)を書いた森本あんりとの対談が掲載されており、反知性主義について少し形を与えてくれる。
 著者の書く文章は、私がふだんいろいろな事件や記事を読むにつけて何かいやな感じがするけどうまく言葉にできないという、そんな感覚について、うまく言語化してくれているような気がする。著者の言葉はお世辞にも口がいいとは言えず、ぶっちゃけた話という感じでたたみかけてくるのだが、意外といいところをついているという印象を持つ。もちろんすべての主張に賛同できるわけではないのだけれど。ただ、彼の主張には反感を持つ人も多いのだろうと想像できる。おそらく賛否がかなりはっきりと分かれる。それが著者のいいところでもあり悪いところでもあるのだろう。でも、世の中にはこういう切り口で世界を見る人もいるのだということを教えてくれる点で、おもしろい本だと思う。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。