『リスクのモノサシ』中谷内 一也

 NHKブックス。副題『安全・安心生活はありうるか』。
 母乳のダイオキシン問題、環境ホルモン、鳥インフルエンザ、アメリカ牛のBSE問題等々、世の中にあふれるリスク問題は数多い。その中には、実際にはほとんど被害がなかったにもかかわらず世間を大いに揺るがした問題もあれば、逆に大きな被害が出ているにもかかわらず世間にはあまり気にされることのない問題もある。それはおそらくはリスクというものが正当に評価されていないからだ。ではなぜそういうことが起きるのか。それは、マスコミ報道の問題でもあり、専門家の問題でもあり、それらを受け取る一般市民の問題でもある。本書はそれらの原因を考察し、どうすれば適切にリスクに向かい合うことができるのかについて、いくつかの提案をする。
 そのひとつが「リスクのモノサシ」である。あるリスクを考えるときには、それと一緒に「リスクのモノサシ」が提示されていると、それがどのくらいのリスクであるのか判断しやすい。
 本書では、このモノサシ以外にも、安全と安心の違いや、安心は信頼と関連が強いこと、信頼はどうやったら得られるのかなどについても考察しており、リスクと安全・安心全般についての著者の考え方を知ることができる。様々な事例を専門用語に置き換えているだけのような類書とは違って、一般の人の目線に合わせて、わかりやすくリスクについて論じているところに好感が持てる。良書だと思う。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。