『絵はすぐに上手くならない』成冨 ミヲリ

 彩流社。副題『デッサン・トレーニングの思考法』。
 ただなんとなく絵が上手くなりたいなあと思って、技法書にあたったり教室に通ったりしたんだけど、なんか上手くなる気がしないな、なんて思ってる人も多いだろう。そういう人はきっと回り道をしてるんじゃないかな。もっと早く効率的に上手くなる方法があるよ。そのためには絵が上手いっていうことがどういうことか知らなければならない。その上で習得可能な能力には大きく8つあるんだけれど、自分がどういうジャンルでどんな風に絵を上手くなりたいのかによって必要になる能力は変わってくる。例えばリアル系の画家になるのと、イラストレーターになるのとグラフィックデザイナーになるのとでは違うでしょ。あともうひとつ。自分が今どのレベルにいるのかもわかっていた方がいい。ほら、このテストをしてごらん。今のレベルがだいたいわかるから。じゃあそれらがわかったら、こういう風に絵のトレーニングをすればいいと思うよ。
 この本は、こんな感じで絵が上手くなる近道を教えてくれる。だから、タイトルもサブタイトルもちょっとこの本の内容とはずれているような気がする。「この本は絵に取り組むための考え方を記した道しるべ」なのである。それをわかった上でこれを読むと、なかなかおもしろい(逆に言えばタイトルに引きずられて勘違いして本書をとった人にはおもしろくないかもしれない)。例えば絵のセンスや感性について触れている箇所では、なるほどなあと勇気づけられたりもした。自分に足りない力が何なのか、そしてそれはどのようにトレーニングしたらいいのかについても教えてくれた。
 自分の方法論をきちんと持っていてそれを実践できる人にはこの本は必要ないかもしれない。でも、漠然と絵が上手くなりたいけれどどうしたらいいのかわからないとか、もがいているけどうまくいかないといった人には、よい指南書になってくれることだろう。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。