『Artifacts / Scenes – Piano Works』Tobias Wilden

 2016年。トビアス・ヴィルデン。
 彼はピアノによるアルバムとギターによるアルバムを出している。ギターアルバム『A Path To Open Air / Minute Maps』は、以前私の記事で取り上げたことがある。それに対してこれはピアノアルバムで、『Scenes, In A Day』(2012年)と『Artifacts』(2013年)を1枚にまとめたものである。どこかつかみどころのない静かな音楽という点で、彼の作る音楽はギターでもピアノでも変わらない。印象派やサティ、あるいはビル・エヴァンスなどのジャズピアニストから影響を受けたという。でも彼らの音楽とは一線を画した独特の浮遊感ともいうべきものが、トビアス・ヴィルデンの曲にはある。
 実のところ私は彼の曲が特別好きだというわけではない。しかしながらこの2週間ばかり、ずっとこのアルバムだけを繰り返し流し続けていた。これらの曲はデスクワークをするときにも本を読むときにも私の思考を遮ることはなかった。まるで空気のような存在として、ただ静かにそこにあった。胸に響くような旋律はない代わりに、いつまで寄り添っていても邪魔にならない自分の一部のような存在がそこにあった。もしかすると、自分の好きな音楽と自分の求めている音楽とは必ずしも一致しないのかもしれない。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。