2010年。『フォーレ:ピアノ独奏のための「舟歌」』デルフィーヌ・バルダン(ピアノ)。
ガブリエル・フォーレが1880年頃から1920年頃までに作曲した13の舟歌を演奏したアルバム。舟歌と呼ばれる楽曲形式は、元々はヴェネツィアのゴンドラ漕ぎが口ずさんでいた曲から生まれたものなのだという。確かに、これら13曲は明るいものや物憂いようなものまでいろいろあるけれど、ヴェネツィアの運河にきらめく波に揺られているような、そんな雰囲気に包まれる曲が多い。なんとなく印象派の絵を思い浮かべてしまうのは、ジャケットにエドゥアール・マネの作品を用いているせいかもしれない(正確にはマネは印象派の画家ではないのだろうけれど)。それぞれに聴き応えのある楽曲だからBGMにしておくのはもったいない、という向きもあるかもしれないけれど、クラシック音楽にありがちな極端なダイナミックスがないので、一定の音量で流しておけるBGMとしてとてもいい。私のような、歌詞のある曲でも歌詞を聴かないという不届き者にはぴったりだ。もちろんはじめからこの舟歌には歌詞がないのだけれど。
ギター曲以外のクラシックアルバムを買ったのは随分と久しぶりのことだったが、なかなかよかった。 ただ、よくわからないことに、なんだかドビュッシーも聴きたくなってしまった。本当になぜだかわからないのだけれど。