『絵画を読む―イコノロジー入門』若桑 みどり

 NHKブックス。
 イコノロジーは図像解釈学と訳されている。絵画の見た目や雰囲気のみならず、描かれているものの意味、その絵が描かれた歴史的背景や思想的背景など、ひとつの絵画を深く解釈していく。絵画をただ見るのではなく、読む。
 本書では、ルネサンス期を中心とした12枚の絵画について鋭く切り込み、まさに読み込んでいく。取り上げているのは、ボッティチェリの『春』、『ヴィーナスの誕生』、フラ・アンジェリコやレオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』、レンブラントの『ペテロの否認』、ブロンズィーノの『愛のアレゴリー』、ジョルジョーネの『テンペスタ(嵐)』などだ。
 絵を観ることは感じることだ。難しいことなんて考えないで、ただ感じればいい。そういう考え方もあるけれど、時代背景や作者の表現したかったものを知って観ると、絵画鑑賞はもっと楽しくなる。絵を前にしたときの感じ方まで変わってくる。確かに覚えることや考えることがたくさんあって難しいし、絵によっては解釈の定まっていないものもある。でも作者の描いたストーリーを知らないで漫然と絵を見るだけだなんてもったいない。そう思わせてくれるイコノロジーの入門書。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。