『しぐさで読む美術史』宮下 規久朗

 ちくま文庫。
 「走る」「踊る」「殴る」「怒り」「寝そべる」など、40のしぐさに注目して美術史を語る。取り上げている美術作品は西洋絵画にとどまらず、東洋絵画や彫刻にまで及ぶ。ほぼ2ページに1ページが図版で、しかもカラーなのがよい。これまで見たことがない作品も多く、その中に気に入ったものが結構多くあったこともうれしかった。
 ただ、「頭に手を置く」や「天を指す」などのように、裏に宗教的な意味が隠されているようなしぐさについての解説は興味深かったが、「食べる」とか「支払う」とか、特に深い意味はなくごく日常的なしぐさについての解説は多少退屈だった。同じ著者の、リンゴやユリなどの事物に絡めた『モチーフで読む美術史』については面白く読めたのだけれど。「しぐさ」は現代人にとって「モチーフ」よりも難解ではないので、新しい発見があまりないということなのだと思う。視点は悪くないと思うのだけれど。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。