『ロバート・ライシュ 格差と民主主義』 ロバート・B・ライシュ

 東洋経済新報社。雨宮寛、今井章子 訳。
 原著は2012年、オバマ大統領の1期目の頃に書かれた。その頃のアメリカの格差と民主主義の現状について告発している。
 (実は本書について、私にしては珍しくかなり長文の読書案内を時間をかけて書いた。しかし、パソコンのハングアップによってすべて失われてしまった。そして、今の私にはそれらの長文を再現する気力はもう残っていない。というわけで、以下、さらっと紹介してやめます)
 アメリカの上位400人の保有する富が下位半分の1億5000万人の富よりも多いという事実を見てわかるように、アメリカの格差はとても大きい。所得の最高税率が一時期90%を超えていたものが今では30%台である。これからも格差は広がっていきそうな気配だ。その原因として、民主主義が壊れかけていることを著者は指摘している。富裕層や企業、ウォール街が政治に対して多額の献金をしたりロビー活動をしたりして、彼らに有利な税制、社会構造を作り出しているのだという。そのようにして減少した税金は、中間層以下の人々に重要な、教育、健康への公的支出を減らすことにつながっている。こうして、格差はますます広がっていく。この事実を踏まえた上で、米国民にできることは何かを提示している。それは選挙で投票するだけのことではない。ふだんからできること、やるべきことがあるのだ、と。
 この本が書かれた数年後、トランプ政権が生まれた。トランプ氏を支持したのは主に、今挙げたような貧乏くじを引いてしまった中間層だといわれている。では、現在トランプ氏は彼らのためになる政策を行っているのか。私にはどうもそうは思われないのだが、それについては本書の範囲外である。著者はトランプ政権誕生直前に『最後の資本主義』 という本を上梓していて、もしかするとその辺の事情が書いてあるかもしれない。ライシュ氏の言動には、今後も注視していきたい。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。