2017年。
「ヴジャデ」は「デジャヴ」とは逆の意味で、「よく知っている事柄を初めて体験するような、新鮮な感覚」のことをいうのだそうだ。細野の音楽傾向は1940年代のポピュラーやジャズに向いている、と本人が語っているが、それらの曲が新鮮な感覚で今よみがえってきているということなのだろう。このアルバムは2枚組だが、合わせて53分なので、1枚に収めようと思えば収められた。それを敢えてしなかったのは、カヴァーとオリジナルが同居できないというジレンマを解消するためだったのだという。そこで、1枚目(Eight Beat Combo)は外国のヴギウギやロカビリー、ラテンのカヴァーとなり、2枚目(Essay)がオリジナル曲からなるという構成になっている。後者にはCMや番組等で使われたものも多い。
なんだろう。とてもやさしい気持ちになる。彼の声がそもそも木訥としてやさしいのだが、それだけでなく、バックも含めてすべてがなんだか暖かい。テクノっぽいアプローチをしている曲もあるのに、不思議である。音楽には人柄が現れるのだろうか。
NHKの『2355氏、帰る』と、青葉市子と歌っている『悲しみのラッキースター』が、ちょっと意表を突かれてうれしかったりする。