『クラウド時代の思考術』ウィリアム・パウンドストーン

 青土社。森夏樹 訳。副題「Googleが教えてくれないただひとつのこと」。
 グーグルで検索すれば何でも教えてくれる。じゃあ知識なんて蓄えなくてもいいのではないか。そんな風にも思えてくるこの時代。果たして真実はいかに、というのがこの本の主題。
 結構な分量のページのほとんどを、アメリカ人の知識に関する統計や個別事象などの紹介に充てている。そこで示されているのは、驚くほど多くのアメリカ人の知識が乏しいということである。そしてそこに通底して流れているのがダニング・クルーガー効果で、「知識や技術にもっとも欠けた者の特徴は、知識や技術の欠損をまったく理解できない」というものだ。自分に知識がないことを理解していないから、自分に対する過信、自信が生じているというのだ。本書では、それを裏付ける証拠が次々と挙げられている。投票行動や、特定の政策への賛成、反対の立場と、それとはまったく関係がないと思われる歴史や地理、文学の知識との相関などである。そしてそれらからわかるのは、どうでもいい知識でも、それを持つものの方が収入が多かったり金持ちだったりするという事実だというのだ。
 ただ、個人的にはあまりおもしろい本ではなかった。ひたすら何かと何かの相関関係を延々と取り上げているばかりで、著者が結局何を言いたいのかよくわからなかった。そもそも相関関係は因果関係を示しているわけではないし。また、この問題に正答したのは70%しかいなかったとか、この問題は11%もの人が誤答したとかいう文章が混在し、著者の恣意的な数字の扱いに困惑させられた。まあ、こんなことを言うと、本書の内容も理解できないなんて、(著者が主にターゲットとしている)ミレニアム世代に顕著に見られる知識の欠如のせいだ、なんて言われかねないのだけれど。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。