『泥棒美術学校』佐々木 豊

 芸術新聞社。
 著者は油彩画家(だと思う。油彩以外の絵を私が知らないだけかもしれないが)。タイトルは、プロの画家も、いろんな人の絵やイラスト、写真などから、構図や色彩といったものを盗んで描いているんだよ、というところから来ている。
 画家といってもいろいろな作風があるけれども、それらを紹介しつつ、では著者はどうやって絵を描いているのかということを、実際に本人の口から解説している。何を描くか。イメージは?構図は?色彩は?絵肌は?といった感じで、絵が完成するまでの過程全体について、著者の考え方を披露している。
 彼の画風が好きかどうかは、かなり意見が割れると思う。実際私も好きかといわれれば、微妙と答えるだろう。また女性に対する偏見も多少感じられなくもない。とはいえ、絵について書かれていること全般に関しては、ほぼ著者の考えに同意する。彼の言うとおりに今までも描こうとしてきたし、これからもその方向性を見失わないようにしていきたいと思っている。今のところまったくその領域には足を踏み入れることができないからそう思うのだけれど。
 私がこのような感想を本書から抱くのは、もしかすると過去に受けた通信教育の影響かもしれない。というのも、著者は私が習っていた講談社フェーマススクールズのスーパーバイザーをしていたからだ(今、この学校は閉鎖している)。この通信教育の教育方針と佐々木の美術論が同一方向を向いていても何の不思議もない。というわけで、私個人としては当時の復習になったし、改めて初心に返ることができたので、この本はとても楽しく読むことができた。私のような万年初心者の人には読むことを勧めたいのはやまやまだけれど、ちょっとひいき目が入ってしまっているだろうから、推薦はしづらい。ご興味があれば立ち読みでも。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。