『「決め方」の経済学』坂井豊貴

 ダイヤモンド社。副題「「みんなの意見のまとめ方」を科学する」。
 大勢集まって何かを決めようとするとき、みんなの意見がまとまればいいけれどまとまらないときがある。そんなとき私たちは安易に多数決で決めようとするけれど、多数決がみんなの意見を反映しているとは限らないことをこの本は教えてくれる。
 自分の家にたくさんの侵入者がやってきて、ここは俺たちの家だ、多数決で決めようなんて言ったとする。その場合、自分よりも侵入者の方が多いんだから、家を乗っ取られかねない。この論理がおかしいことは誰でもわかると思うのだけれど、じゃあなぜおかしいのかと言われると、言葉に窮してしまう人が多いのではないだろうか。私もそのひとりだ。
 決め方にはいろいろある。この本ではそのうちのいくつかを紹介している。選挙で政治家を選ぶとき、一番いい人に3点、その次にいい人に2点、その次は1点と点数をつけて、その合計で決めるボルダ・ルール。総当たり戦で成績のいい人を選ぶやり方。決選投票などだ。そうすると、決め方によってまったく違う結果になったりする。1対1だと全員に勝てる「ペア勝者」が、そうでない決め方だと負けてしまったりする。そういう変なことが実際に起こるということを、簡単な実例を挙げて、とてもわかりやすく解説している。
 決め方で結果が変わるということは、決め方を自由に決めることができる人がいると、悪用されるということでもある。そうならないために、どんな決め方が「よりよい」のか、著者の考えも示されている。この本で述べられているように、絶対的に正しい選び方というのはないのだけれど、「よりよい」決め方はあるはずだ。そういう著者の思いが伝わってくる。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。