『キリスト教文化の常識』石黒マリーローズ

 講談社現代新書。
 私たちは、クリスチャンであろうとなかろうと、クリスマスやハロウィンなどを祝ったり、教会で結婚式を挙げたりしている。その意味をさして考えることもなしに。
 おそらく著者にとっては、そんな日本の状況が残念でならなかったに違いない。本書では、キリスト教文化にまつわるあれやこれやを、丁寧に解説してくれている。上で述べた記念日はもちろんのこと、聖人ゆかりの人名や地名、ことわざ、ふだんのコミュニケーションに現れる聖書の言葉、聖書の常識、キリスト教内の宗派、ミサとは何か等々。
 著者はキリスト教を布教しているわけではない。キリスト教の信仰を説いているわけでもない。ただ、キリスト教の「文化」を日本人にもわかってもらいたかった。クリスチャンとコミュニケーションを取るときに常識として知っておいてもらいたいことを伝えたかった。そういう思いで本書を上梓したのだと思う。ここでは、そんなキリスト教に関する諸々のことを事細かに教えてくれる。これらはコミュニケーションの場だけでなく、美術や音楽などの芸術の理解にもつながってくる。
 もちろん著者は私たちがキリスト教を信仰してくれるとなると、喜んで賛同してくれるだろう。でもその前に、そもそもの一般常識としてキリスト教に根ざした文化とはどういうものかを、本書によって触れてみるのもいいかもしれない。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。