日本の災害情報の英文アーカイブ化について

 昨年の夏だったか秋だったか、とあるeラーニングで、過去の教訓を踏まえた今後の防災に関する新たな提案を1200字でレポートにまとめよ、という課題があった。防災に関する提案なんて今までさんざん出てきたし、新たなといわれても思いつかないよ、と思いつつも無理やりひねり出して書いたのがこれです。ちょっとお堅くて長いですが引用します。

 これまで、地球上ではさまざまな災害が繰り返し起こってきた。地震、津波、台風、集中豪雨、隕石の落下など、その種類は多岐にわたる。ここでは、その中でも地震と津波のふたつに的を絞って検討してみたい。
 近年の日本では、1995年の阪神淡路大震災によって、大きく地震被害の現実性というものがクローズアップされた。その後、2003年の十勝沖地震、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、そして2018年の北海道胆振東部地震と、立て続けに大規模地震が起こっている。ともすれば地震被害は現代の災害だと思われがちだが、過去には30年周期、100年周期、1000年周期、あるいはもっと1万年周期でも地震、津波は起こってきた。しかしながら一般の人々の記憶の中では、せいぜい関東大震災あたりまでしか辿れないのではないだろうか。
 そこで一番土台としてとして重要になってくるのは、「伝承」である。人は忘れる生き物であるので、時間が経つと過去に起きた大きな出来事も忘れてしまう。さらに世代が変わってくると、個人の記憶はまったく消えてしまう。過去の大災害の教訓を生かすためには、何世代にもわたって災害の記憶を「伝承」していかなければならない。
 そのためには何をしていかなければならないか。まずは記憶を記録に変えていかなければならない。口頭伝承、文書アーカイブ、デジタルアーカイブなどの言葉によるものの他、石碑、絵画や舞踏などの芸術、定型訓練などの行事等が挙げられるだろう。それもその地域だけではなく、日本全体、さらに言えば世界全体で、この災害記録を共有していかなければならない。実際にそのための国際組織もできて、この試みは始まっている。
 この「伝承」という土台ができた上で、次は何をしなければならないだろうか。それが、防災、さらにもっと広く免災のための行動である。建物の耐震化、堤防の構築、インフラの整備等のハード面だけでなく、地震の予測、日頃の防災グッズなどの備え、地震発生後の人々の行動あるいは避難手順の周知等のソフト面の行動も必要となってくる。
 日本は地震大国と言われるように、これらの対応については、未だ至らないところも多いとはいえ、大分進んできている。しかしながら世界的に見ると、防災対応というものがまったくなされず、未対応のところも多い。先日のインドネシアにおける地震、津波では大きな被害が出たが、インドネシア政府は復興計画の策定について日本を指名した。日本は災害においては先進国で、世界的に頼りになる存在だという証拠である。既に国連の防災世界会議が開かれたりしているが、それだけにとどまらない日本の貢献が求められている。日本における記録は日本語におけるものが圧倒的に多い。これらをすべて英文化し、全世界で共有し、集合知としていくことが必要である。そこで、日本による経験知を英文によってアーカイブ化するプロジェクトを提案する。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。