『HOCHONO HOUSE』細野晴臣

 2019年。
 細野が1973年に出したファーストアルバム『HOSONO HOUSE』の完全リメイク盤(ただし曲順はまったく逆になっている)。ファーストは狭山の一軒家に機材を持ち込み、いわゆる宅録形式で作られたアルバムだけれど、本作は多くが打ち込みによっている。
 でも不思議なことに本作を初めて聴いたときも、まったく違和感がなかった。彼の木訥としたやさしい声が、ジャンルとしてはよくわからないサウンドの上に載っている、というのはいつものことだと思ったから。
 ただ、今回せっかくだからと『HOSONO HOUSE』と聴き比べてみると、全然違う。最初のものはやっぱり時代のせいかフォーキー(C&W ?)な感じが強くでている。もちろん生演奏であるわけだし。だから本作は今風といえば今風。前は声も若かったし、音圧もそんなに高くはなかった。それに歌詞も今の細野の気持ちに合わせて変えた曲もある。ファーストではイントロで終わっていた「相合傘」に今回は歌詞が入っていたりもする。お気に入りの曲だった「終りの季節」がインストに代わっていたのはちょっと残念だったけれど。
 今回のアルバムは打ち込みを多用しているとはいえ、生演奏もわりと聴くことができる。「パーティー」は1975年のライブレコーディングでのピアノ弾き語りだし、「ろっかばいまいべいびい」はアレンジこそ違うけれど、同じギター弾き語りだ。ライナーノーツによると、この「ろっかばいまいべいびい」を最後に持ってきたいがために、全部の曲順が逆になったのだという。
 細野ワールドの底流に流れているものはそんなには大きく変わらないのかもしれないけれど、積み重ねられた経験値はとてつもなく大きなものなんだろうと思う。その重層感を味わえるのがこのアルバムなのだろう。ファーストアルバムももちろんよかったけれど、このアルバムはそれを超えてしまったのかもしれない。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。