『Encounter』押尾コータロー

 2019年。個人名義としては2年ぶりのアルバム。
 全体をとおして、押尾コータローらしさがよくでているアルバムだなと思う。1曲目からして、初めて聴いても誰の曲かすぐにわかってしまう。前半は彼のトレードマークともいえる、ストロークを弾きながら同時にメロディも奏でるアップテンポな曲を配置して、後半は指弾きの渋めの曲を多めにしながらも、ときに激しく起伏をつけてくれる感じ。彼はヘッジス・フォロワーと呼ばれていたりするけれども、日本的でポップ寄りのメロディを前面に据えている点で、海外のヘッジス・フォロワーとは一線を画している。
 ストローク系の曲では『Cyborg』がすごくかっこよくて、出色のできなんじゃないだろうか。『Flower』なんかも6/8拍子のリズムが楽しくていい感じ。指弾きでは、『ガール・フレンド』とか『夕凪』が、とても味があっていい。
 お、これは、と思ったのは、『久音 -KUON- feat. 梁 邦彦 〜ジョンソンアリラン変奏曲〜』 。平昌オリンピック応援ソングとして開会式の音楽監督を務めた音楽家・梁邦彦との出会いで実現したピアノとのコラボレーション。私はアリラン自体はよく知らないのだけれど、この曲は聴かせてくれる。曲としての仕上がりが最高だと思う。
 他にも、クラシックギタリストの朴葵姫(パク・キュヒ)のために書いた『Harmonia』、ギタリストの石田長生が押尾のために書いた、泣きのギター・インスト『Pushing Tail』、ウィリアム・アッカーマン(William Ackerman)とセッションした『ナユタ』(この曲は2010年のアルバム『Hand To Hand』が初出だと思う)など、聴きどころが満載だ。
 彼のギター演奏の幅の広さを余すところなくカバーしたアルバムとなっているので、初めて押尾コータローを聴く人にとって、最初の一枚としてとてもいいんじゃないかと思う(もう15枚以上アルバムをリリースしてますが)。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。