『図解 世界5大宗教全史』中村 圭志

 ディスカヴァー・トゥエンティワン。
 タイトルでいう「5大宗教」とは、仏教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のことであり、それぞれについて章を立てて解説している。さらにゾロアスター教、ジャイナ教、シク教、儒教、道教、神道などにも触れられており、世界の主要な宗教はかなり網羅されている。
 それぞれの解説内容は、歴史、教典(経典)、思想の概要、地理的人種的広がり、他の宗教との関係など、わりと第三者的で中立的な視点で書かれている。どれか特定の宗教に肩入れしているという印象は受けない。ただし最終章において、著者の宗教に対する考え方が若干述べられており、著者の立場を多少は垣間見ることができる。
 淡々と書かれているせいか不思議と宗教的な雰囲気がなく、宗教書というよりは事典という趣が強い。適度な詳細さも持ち合わせており(500頁近くもあるので)、あとから基本事項を確認するのに役立ちそうだ。
 個人的に興味深かった点を挙げるとしたら、次のふたつである。ひとつは、イスラム教は本来好戦的な宗教ではないということ。そしてもうひとつは、一神教、多神教と分類されることの多い宗教であるが、実際にはどの宗教も一神教的、多神教的な両面を持ち合わせているということだった。ただしタイトルに関していえば、「図解」と銘打っているわりには図の必要性があまり感じなかった感は否めない。
 世界の宗教史を俯瞰的に見ることのできる本としては、よくまとまった本である。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。