『だから平野遼を評論する』マンマDEブルジョア

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 北武記念絵画館。
 平野遼(1927-1992)は、昭和後期から平成にかけて活動していた洋画家である。人物画が多いが、本書の中では彼の抽象画を巡る議論が数多くなされている。この本はタイトルだけを見ると評論のように感じてしまうが、実は著者マンマDEブルジョアの語る自伝的小説の体をとっている。とある美術大学を舞台に、著者と元恋人の狸小路エリと友人・大友の日常を描く。そもそもマンマとエリは恋人同士と言えるのか疑問ではあるが、彼らの甘くも切なくもある交遊が、平野遼という画家を通奏低音とし、綴られていく。
 少し意味をとるのが難しい箇所があり、読み進めるのに時間がかかったところもあるけれど、小説を手にした久しぶりの時間を楽しむことができた。何より平野遼について知れたことがよかった。また、 マンマDEブルジョアとは誰かということについては、著者本人が正体を明かしたいのかどうかがわからないので深くは書かないが、HOKUBU記念絵画館の一室に佇んでいる犬の人形が、どうもそれらしい。
 実はこの本はHOKUBU記念絵画館に行かないと手に入らないのかもしれない。この絵画館のFacebookページを見ると、ニトリ級、つまりお値段以上だと書かれているが、実際に採算を度外視して配布している。本日2019年6月30日現在、本館では「和ノ音ノ、ホノカナルニ」展(7月21日までの、木・金・土・日)が開かれているので、興味のある方は足を運んでみてはどうだろう。

HOKUBU記念絵画館」札幌市豊平区旭町1丁目1-36

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。