『こう描けば絵は上手くなる』醍醐 芳晴

 芸術新聞社。
 水彩画家である著者が、初心者から中級、上級者までを対象に、絵を描く人の疑問、課題に対してQ&A形式で66の質問に答えてくれている。絵が上手いということはどういうことか、デッサンについて、絵のトレーニング方法、風景画、静物画、人物画に対する素朴な疑問、水彩画について、創造性についてなど、幅が広い。
 この本は技法書ではあるんだけど、大きな図版にちょこっと説明を載せるといったよくある技法書ではなくて、文章できちっと論理的に解説を施しているというのが特徴で、図版はあくまで補助的なものにとどまっている。「はじめに」の中で、これは「読む技法書」だと書かれていることは、誇張ではない。ただし、構図や色、明暗の話や実際の水彩技法などの実技的な観点だけでなく、絵に対する心構えといった、絵との向き合い方についての観点からの記述も多く、プロの画家の考え方みたいなものが窺えるのは、おもしろい。この後者の記述は画家本人の趣味も加味されているので、必ずしもすべての人に受け入れられるものではないのかもしれないのだけれど、ここの部分にこそ著者らしさが滲み出ていて、他の技法書とは一線を画している部分なのかな、と感じる。
 個人的には、読み物として楽しませていただいた。絵の上達にちょっとした限界を感じている人には、この本の中にその限界を超えるヒントが隠されているかもしれない。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。