ナショナル・ジオグラフィック。関谷冬華 訳。副題「答えはひとつではない」。
人間はチンパンジーの子孫だだとか、ガラスは液体だとかいう科学に関する誤解を45個取り上げ、それらについて現代において本当と考えられていることを解説してみせている。それは大抵は科学的な反論ではあるのだけれど、ときにはジョークを織り交ぜたりと、一般の人にも親しみやすいように著者なりの工夫が施されている。
しかしながら、数点の例外を除いて、そもそもこんな誤解は一般に信じられているのだろうか。高校までの理科をひととおり理解しているのであれば、ここで取り上げている誤解など生じようがない。科学であろうと歴史であろうと言語であろうと、間違って覚えている人がいるのは当たり前の話で、そうでない人もたくさんいる。みんなが誤解していることを前提として本書が書かれているような気がして、なんだか馬鹿にされているような感じがした。この本はいったいどんな読者層を想定しているのだろうか。