『Spectrum』上原ひろみ

 2019年。ジャズピアノ。
 ソロアルバムとしては『Place To Be』以来10年ぶりのアルバムなのだという。わあ、10年って早い、と思った。確かにその間、アンソニー・ジャクソン(b)、サイモン・フィリップス(ds)とトリオ・プロジェクトをやったり、矢野顕子とアルバムつくったり、エドマール・カスタネーダのハープと衝撃的な一枚をつくったりと、いろいろやっていた。私が今回買ったのは2枚組で、なぜそのボーナス・ディスクが『Live at Blue Note New York 2010』と古い録音なんだろうと思ったのだけれど、それが『Place To Be』のときの録音だと知って、腑に落ちた。
 タイトルから想像できるとおり、本盤は「色」がテーマになっている。7色の虹のように、さまざまな色がこのアルバムにはちりばめられていて、それは曲名に、Kaleido、white、yellow、black、Blue、Sepiaなどの単語が入っていることからも容易にわかる。例えば20分以上にもわたる大作『Rhapsody in Various Shades of Blue』はガーシュウィンの『Rhapsody in Blue』にジョン・コルトレーンの『Blue Train』とザ・フーの『Behind Blue Eyes』のスパイスを振りかけていたりと、遊び心に富んでいて、つい、にやけてしまう。上原ひろみのソロはそんなにおもしろくないという人もいるけれど(まあ、地味ということなのかな)、私は結構好きだな。彼女のピアノにはストーリーが宿っているし、この楽器の持つ打楽器的な側面も思い出させてくれる。
 そういえば、今日とあるジャズ好きの画家の方とお話しする機会があったのだけれど、そのときにビートルズの『Blackbird』の話題になった。このアルバムにもその曲のカヴァーが収められているというのは、なんか世界はいろんなところでつながっているんだなあと感慨深かった。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。