『茶の湯こころと美』表千家監修

不審菴󠄁文庫編。

茶道のお話です。といっても、お点前のことはほとんど触れていません。ただし監修が表千家なので、当然表千家の茶室や代々の家元の話題も少なくはありません。

しかしながら、この本はわりと表千家だけじゃなくて、他の千家を含む茶の湯全体について、バランスよく解説していると思う。

中国やヨーロッパなど、世界のお茶の話。そもそもお茶って何なのか。利休以前の茶の湯の歴史、利休の茶の湯、その後の発展。茶室と露地のこと。作法やお茶会のこと。茶の湯に使われる道具のこと。

茶道をやっていない人にとっては、茶の湯って何が楽しいのかよくわからないかもしれない。確かにお菓子と抹茶はおいしいけれど、なんだか型にはまった感じがするし、決まり事が多すぎて堅苦しい。まあ、お上品なご趣味ですこと、みたいな。

でもこの本を読むと、その考えはちょっとは改まるかもしれない。茶の湯って、貴族というよりは武士の中で広まってきている。千利休って豊臣秀吉と関わりの深かったのは有名な話だし。そんな中で、利休は何を目指して茶の湯を大成したのか。なんで武士は茶の湯にはまっていったのか。結構おもしろい話です。

茶の湯が総合芸術と言われる所以がよくわかると思う。表千家以外でお茶を習っている人には少し抵抗があるかもしれないけれど、茶の湯のことをよく知らない人には格好の入門書じゃないだろうか。

例えば森下典子さんの『日々是好日』を読んで興味を持った人とか、そのエッセイをもとにした樹木希林さん出演の同名映画がおもしろかった人なんかに、特にお薦めです。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。針槐の会というグループに入っています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。

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