河出文庫。中矢俊一郎編。副題「いつか夢に見た音の旅」。
イタリアとかの国、あるいはパリみたいな都市、もっとばふらっと森とか宇宙とか。まあそんないろんな場所をテーマに、細野さんがいろいろと音楽のこととか映画のこととか旅行の思い出とか、ざっくばらんにしゃべったものを文字に起こしたもの。
なんていうか、とてもマニアック。ここに出てくるミュージシャンなんて全然聞いたことのない人たちばかりだし、映画も、タイトルは耳にしたことがあるものもあるけれど、観ていないのばかり。
うーん、マニアックというといいすぎかな。ただ私が知らないというだけの話かもしれないし。たとえば何の説明もなく名古屋飯の話題を熱っぽく語られてもよくわからないようなのと同じかもしれない。
でもでも、とても不思議なことなんだけど、読んでいて楽しい。何のことを話しているのかさっぱりわからないのに、なぜだか楽しい。なんだろう。人柄なのかな。文体のせいなのかな。
細野さんって、ちょっと樹木希林さんに似ているところがあると思うんですよね。見た目だけじゃなくて醸し出しているオーラみたいなものが。
よくわからないんだけど、 この本を読んでいると、そんなオーラに触れている感覚が湧き上がってきて楽しいんじゃないかなあ、と勝手に思ったりしている。
自分とはまったく接点のない全然違う世界に生きているはずの細野さんの世界に、ほんと奇跡的に手を触れちゃった、って感じ?