ここにたった今読み終えたばかりの一冊の本がある。
日本の古典やギリシャ、ローマの戯曲などを題材とし、法の根源について問うたものだ。
以前ならば特に何も考えずに読後の感想を述べていたのだと思う。その頃はまだ読者というものを想定していなかったから。でも今ではこの本を紹介することを躊躇してしまう。なぜなら、どうやってもそこには私の思想的背景が滲み出てしまうであろうから。
人の目を気にしすぎ?
ナルシスト傾向の現れ?
そういう言葉を浴びせられるのも無理はないと思う。でもちょっと違う。
端的にいえば、「恐怖」。
我が国には建前上、思想の自由があり、表現の自由がある。でも無邪気にそれを信じてはいけない。そのことをこの数年で学んだ。
ちなみに無邪気にそれらの自由を信じていることを「若い」と呼ぶのではないかと想像したりもする。
とにもかくにも今の私の状況は自由とは言えない。『自由奔放な猫たち』のように、ただのほほんとまわりを気にせず暮らしてみたい。