『他人を支配したがる人たち』ジョージ・サイモン

草思社。秋山勝 訳。副題:身近にいる「マニピュレーター」の脅威。

『他人を支配したがる人たち』とは「マニピュレーター」のことを指しているのだけれど、「マニピュレーター」っていったい何?って話だよね。こんな人が世の中には存在しているらしい。

罪の意識もなく人の弱みにつけ込みつつも、他人を攻撃している感じも見せず、ときには被害者を装い、自分の思いどおりに物事を進めていく人。

著者によると、このタイプの人はパーソナリティ障害のひとつである潜在的攻撃性パーソナリティに属するんだとか。その対極にあるのが神経症になるらしい。manipulateって、操るとか操作するって意味だから、直訳すると、人を操る人ってことなのかな。

厄介なのは、こういう人と一緒にいても、はた目にはそんなに悪い人には見えないってこと。で、なんかいや~な感じはするんだけど、その原因は相手であるマニピュレーターにあるんじゃなくて、自分にあると思っちゃって心を病んでいく人もいるらしい。それは大人同士の話だけじゃなくて、子供が親をそうやって操っている例もあるみたいだから、一見弱い立場にある人が必ずしも被害者ってわけじゃない。実は加害者側ってこともある。

読んでいると、あ、いるいる、こんな人、とは思う。でもその人がマニピュレーターかどうかって証拠はどうやったらわかるんだろう、とも同時に思う。だって言動を見るだけでは、その人がマニピュレーターなのか、実は見た目どおりに被害者なのか、判断が付きかねる気がするんだもの。悪意を見せないということが、まさに「潜在的」攻撃性ということなのだから。

この本は「他人を支配したがる人たち」とその被害者たちの実例にほとんどのページを割いている。そして最後の方に、こういう人たちの見抜き方、向き合い方が書いてある。私としては、一番知りたかったのはこの最後の部分なのだけれど、そこがちょっと流し気味に書いてあるのが残念だったかな。

でも、この本が書かれたころは、こういうタイプの人たちが存在するということすら一般には知られていなかったみたいだから、著者がここで読者に伝えたかったのは、一見いい人なのに、実はこんな攻撃性パーソナリティを持っている人が存在するんだよ、という事実(というか真実?)そのものなんだろうな、という気はする。まず存在そのものを知らないと、対処することはできないからね。

もしかしたらあなたの隣にいるいい人ぶってる人、マニピュレーターかもしれないよ。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。