『茶室の花』不同庵 林 利左

河原書店。ブログ執筆時点ではamazonでは売られていません。

昭和26年から5年にわたり「茶道雑誌」(河原書店)で連載されていた記事をまとめたもの。本書には数多くのモノクロの挿図と解説が収められていて、それらを手がけたのは息子の林正良だという。本文よりもむしろこの解説の方が多いくらいで、この挿図と解説がかなり役に立つ。

茶室に活けられる花を季節ごとに紹介している。どんな花を取り上げているのかは確かに大事なことだけれど、それよりも何よりも、茶室という特異な場所において、そこに飾られる花がどんな役割を持っているのかということについて、詳しく著者の考えが披露されているのが、とてもいい。というか、茶室に飾られる花に期待されているものが、茶道という文脈においてどういう位置づけにあるのか、ということがとてもよくわかる。

季節によって違うのはもちろん、薄茶席なのか濃茶席なのかによっても変わってくるし、軸や花入れとの取り合わせによっても違ってくる。そこのところは正直に言えば正解というものはないのかもしれないけれど、茶人からみたときに、それは変だろうだとか、それは感心するなあだとかの、なんとなくの勘所みたいなものはつかめてくる。

茶花っていうのは、椿とか特別なものは除いて基本的には野に咲く花だったりするから、ふつうの図鑑には載っていなかったりするものが結構ある。そのあたりのマニアックな草花について、大きさ、色、見た目、形、特徴などが詳しく説明されていて、とても重宝する。

紙面の都合上、名称が書いてはあるものの解説のない花がまだまだあって、それらについても同じように掲載されていればもっとよかったのになあと思う。ただ、それをするとものすごい厚さの図鑑になってしまうのだろうけれど。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。