『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』 伊藤公一朗

光文社新書。

数式を使わないでデータ分析について解説した入門書である。ランダム化比較試験(RCT)、RDデザイン(回帰不連続法)、集積分析、パネル・データ分析について、初心者でもとっつきやすいように丁寧に書いてある。

RCTとかRDとかの文字が躍っている目次をみると、すごく難しい本のように感じるんだけど、著者の構成力の賜(たまもの)のせいか、すんなり頭に入ってくる。

例えば、広告を打ったらアイスクリームがよく売れた、という例を挙げている。

あまり考えないと、ああ、やっぱり広告って大事なんだな、と思うだけかもしれない。でもこのデータだけからは、そういう結論にはならないと著者は述べている。

これは相関関係があるといっているだけで、因果関係がある証拠にはならない。

もしかしたらその年はたまたま気温が上がってよく売れただけかもしれないし、経済がよくなっただけだからかもしれない。

そこで、ちゃんとしたデータ分析の出番である。どういうデータの取り方をしたら因果関係がわかるんだろう。どういう解析をしたら因果関係がわかるんだろう。

そんなことがこの本には書いてある。上の方で書いた小難しい専門用語は、そのやり方の名前である。

ちょっとデータ分析について知っている人には物足りないかもしれない。でもこれは入門書だから、そこに文句をつけてもしょうがない。親切なことに、本書の末尾には入門から一歩外に出た人向けの参考書をいくつも載せている。中には経済学部大学院レベルの洋書まで載っている。それぞれに力量に合わせて、次に読む本を決めればいいだろう。

文系理系にかかわらず、これからデータ分析を始める人にはオススメ。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。