『マーケットデザイン入門』坂井豊貴

ミネルヴァ書房。「オークションとマッチングの経済学」

本書は、オークション理論とマッチング理論を扱った、マーケットデザインの初学者向けのテキストである。つまり入門書という位置づけなんだけれど、これがなかなかどうして、結構ハードな本だ。かなり本格的で、一般向けではないな、という感じ。

難しい数式が出てくるわけではなく、せいぜい積分とベクトルくらいのものなんだけど、まあ数式の量は多い。丁寧に読めば高校生でも大丈夫だろうと著者は述べていて、確かに高校の範囲は超えない。でも粘り強さは必要かな、と思う。

オークション理論はその名のとおり、ヤフオクとか入札とか競りの話。マッチング理論は、結婚マッチングとか腎臓マッチングとか人事異動とかの話。

そんじょそこらの新書にあるような事例集的なネタ本ではなく、しっかりとマーケットデザインの基礎について学ぶことができる。数式がたくさんあるのは、それぞれの理論についてきちんと証明したり、丁寧な説明を施しているからだ。オークションの部分はちょっと難しいけれど、マッチングに関していえば、中学生でもわかるくらいにかみ砕いて教えてくれている。

著者によると、マーケットデザインについてのこのような初学者向けのテキストはあまりないようだ。一般人向けの本か専門書かどちらかしかなかったということなんだろう。そういう意味で、両者の橋渡し的な存在となる本書の存在は貴重である。本格的にマーケットデザインを学習したい人にとって、いい足がかりとなってくれることだろう。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。

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