ディスカヴァー・トゥエンティワン。
法律を変えるってどういう意味?一般人が法律を変えられるの?というのが普通の感覚なんだと思う。議会とか内閣で法律決めてるんじゃないの?くらいの感覚で。官僚が出してきた案をそのまま審議してるんじゃない?と思っている人もいるかもしれない。
でもよく考えたら、議会とか内閣で法案を審議するにしても、その中身は誰が決めてるんだろう?利害関係者をどうやって調整してるんだろう?そもそもどうして法律を変えよう、あるいは作ろうと思うんだろう?といろいろな疑問が湧いてくる。
この本はそこのところを、実際の事例を元にして読者に解説している。著者は実はヤフーの法律部門で働いていた人だ。
法律を変える、っていう発想は、今の法律では対応しきれないことが出てきていたり、古い技術を前提につくられている現法が時代遅れになってきていたりすることから出てくる。事業を行う上で支障になるから、何とかしなきゃならない。でも今の法律ではうまくいかないから、作り替えちゃおう、というわけだ。
いや、大変だな、と思った。
まず誰に言えば変えてくれるんだろう。そのあとどうやったら国会審議まで進むんだろう。国会審議にかかっても、否決されたら意味ないし。
目の前に立ちはだかる壁は結構でかい。
でも突破できない壁ではない。
仲間をつくる。関係省庁にアタックしてみる。その専門に近い議員を探す。委員会に入り込む。議題に取り上げてもらう。利害関係者をうまくまとめていく。与党を納得させないと議案は通らない。国会の日程もある。
それらをひとつひとつ潰していきながら、法律を変える足がかりをつくっていく。
その工程だけでも頭が下がる思いだけれど、一番なるほどと思ったのは著者の次の主張だ。
法律を変える目的は、一企業の利益のためではなく、国民全体の社会的利益の向上にある、ということだ。
わりとブラックボック的な感のある法律制定及び改正について、わかりやすく実例を教授してくれるのはありがたかった。