誠信書房。安藤清志監訳、曽根寛樹訳。「小さな工夫が生み出す大きな効果」
『影響力の武器』(私の記事)というR.B.チャルディーニによる本があって、それが第一弾。そして第二弾として『影響力の武器 実践編』(私の記事)が出版されて、本書『影響力の武器 戦略編』がそのさらに続編というかたちになっている。
副題の「小さな工夫が生み出す大きな効果」がまさにこの本の内容を示している。「小さな工夫」が「スモール」、「大きな効果」が「ビッグ」。ということで副題を要約すると「スモール・ビッグ」。
この本はその「スモール・ビッグ」の例を53個紹介している。
よく知られている例としては、「20ドル」で商品をちょっとだけ安くして「19.9ドル」とするだけで劇的に売り上げが伸びる、みたいな。
余談ですけど、日本だったら「19.8ドル」と末尾を「8」にしちゃいますよね。なんでだろう?国民性かな。
まあ、そんなほんのちょっとしたスモールな工夫でビッグな効果を得る方法が50個以上取り上げられているというわけ。
こういうのを「ズル」という人もいるかもしれないんだけど、そうじゃないと思うんですよね。人間心理をうまく利用してWin-Win(どっちもお得)の関係を築くという、ある意味みんなハッピーになる方法がこの本に書かれているんだと思う。
第一弾、第二弾の本を読まないでこの本を読んでも、別に難しくはないと思う。
でも、第一弾の『影響力の武器』で説明していた6つの原理「返報性」「権威」「希少性」「好意」「一貫性」「社会的証明」が随所に出てくるので、『影響力の武器』だけは読んでから本書を手に取った方がわかりやすいかな。
人間ってコミュニケーションの生き物だから、こういう人間心理についてある程度は知っておいた方がお得だと思います。