『感性は感動しない』椹木野衣

世界思想社。「美術の見方、批評の作法」

著者の名前は「さわらぎのい」さんと読むそうだ。読めなかったです。ちなみに美術批評家です。

てっきり哲学系の本だと思って買ったのだけれど、かなり違った。美術エッセイって感じの本です。

3部プラスワンという構成で、一番最初に「感性は感動しない」という評論があり、そのあとに「I 絵の見方、味わい方」「II 本の読み方、批評の書き方」「III 批評の根となる記憶と生活」と続いている。

「感性は感動しない」では、「芸術における感性とは、あくまで見る側の心の自由にある」、「感性など、みがこうとしないことだ」などと、読者に挑戦的な言葉を投げかける。

「感性の根拠が自分のなかではなく、」作品や作者の「側にあるように思い込んでしまう」不幸。

ああ、なるほどな、と思う。

特にこの「感性は感動しない」と「I 絵の見方、味わい方」は、私の中にある芸術に対する息苦しさみたいなものを解き放してくれて、なんだか肩の荷が下りた感じがして気が楽になる。

ああ、今のまんまの私でいいんだな、とほっとする。

そのあとに続く「II 本の読み方、批評の書き方」と「III 批評の根となる記憶と生活」は、ほとんど美術とは関係のない読みもので、なんてことのない話。

この人はこうやって物事を考えていて、こんな人生を送ってきたんだな、と、カフェで友人とおしゃべりしてるみたいな「ゆるさ」がある。

あ、自分でいうのも何だけど、一日仕事に追われて過ごした帰りに、カフェでコーヒーを飲んでゆったり読書するのにぴったりな本かもしれない。

肩が凝らない。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。

コメントを残す