角川書店。大学の講義録を再構成した本。
資本主義が破局への道を辿っているのではないか、という声をいろんなところから聞くようになってきた。でもどういう風に破局してしまうのか、また、その後の世界はどうなるのかについては、なかなかはっきりとした見解には至っていないようだ。
著者はそこで、マンガ、アニメ、映画、小説といったサブカルチャーの想像力が突破口になるんじゃないか、という視点で、近年話題になった作品を元に考察を重ねる。
『シン・ゴジラ』『ウルトラマン』『デスノート』『おそ松さん』(「おそ松くん」のリメイク)『君の名は。』『この世界の片隅に』などなど。
戦中、戦後から現代までの歴史や社会とこれらの作品を比較してくんですよね。原爆とか浅間山荘事件、オウム真理教、東日本大震災とかの結構でかい出来事の他、日本人の社会観、恋愛観にも切り込んでいく。
あ、恋愛観と言えば『逃げるは恥だが役に立つ』とかも引用されてました。
講義内容は社会学的だったり哲学的だったりと小難しいことも言ってるんだけど、大学の講義ということだったり、取り上げている作品が若者にも馴染みのあるものだったりもするので、そんなにとっつきづらいわけではない。
え~?『君の名は。』をこんな風に解釈しちゃうんだ!
という感じで、なかなか新鮮な視点が得られておもしろい。しかも語り口が軽妙だから引き込まれる。
ただ、こういう視点からサブカルを見たことがないので、本当にそうなのかな?深読みしすぎでは?というところもあった。なんか論理が飛躍してるような。
でもこれは講義だからこうなっちゃうのかな、とも思う。きっと論文とかだったら、きちんと論理立てて説明してくれるのかもしれない。
なんか、読みものとしておもしろかったです。推理小説を読んでいるかのような、謎解きをしているかのような。
資本主義ってこれからどうなっちゃうんだろう?