『ジャニス・ジョプリン: 孤独と破滅の歌姫、50年目の祈り』文藝別冊KAWADEムック

河出書房新社編集部 (編集)

Janis Joplin (1942-1970). 好きな女性歌手を3人挙げよと言われたら、必ず入れると思う。そのくらい好きな声、歌、風貌。

そのくせ彼女のことは何にも知らなかった。出自も、どんな子供時代を送ったかも、どうやって歌手になっていったのかも、どうして27歳という若さでこの世を去らなければならなかったのかも。

このムックには、インタビュー、小説、対談、エッセイ、論考という形で20人弱の日本のアーティストや評論家がジャニスについて語っている。そこには私が何も知らなかった彼女の生きた軌跡が記されている。

テキサスに生まれ、その後サンフランシスコに出て、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーというバンドのヴォーカリストとして迎えられたこと。その後いくつかのバンドを経て最後のアルバムを録音している途中でヘロイン中毒で亡くなったこと。

風貌やイメージとはまったく違って、繊細で読書家で頭がよくて愛を追い求めていたこと。

今、ジャニスの歌声を聴きながらこのブログを書いているけれど、辛すぎるよね。心の奥まで刺さってくる。気楽に聴けなくなってしまったじゃないか……

でもここに書かれている文章のどれもが、ジャニスの本当のところに攻め切れていないような気がした。彼女の人となりや音楽性などが本当に細かく論評されているんだけど、なんかいまひとつ私が聴いているジャニスの歌声のイメージとはずれている感じがした。

もしかすると音楽を語ることは野暮なことなのかもしれない。音楽を言葉で表現するというのは、無謀な試みなのかもしれない。言葉は論理だけれど、音楽はそんな論理を超越したところに存在するのかもしれない。

そんなことを思いながら、このムックを読んでいた。

ジャニス・ジョプリンのことを知りたければ、最終的にはジャニス・ジョプリンの歌を聴くのが一番だ、と思った。彼女についての本を読んでいるときより、彼女の声を聴いているときの方が100倍楽しい。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。